*SNOW MAGIC*



街が多くの人々で賑わい、恋人達がより幸せになれる日・・・・

『12月24日 クリスマス・イヴ』

別名 恋人達の祭典(とも言う?)

しかし・・・・・・ここに一人不幸な少女が居た。

本来なら彼女もこの世で1番大好きな人と幸せに過ごす予定だっ た。

・・・が、しかし不幸は前触れもなく訪れる。

それは、23日クリスマス・イヴの前日に彼から1本の電話が 入った。

『大変申し訳ないが急な仕事が入ってしまった。しかも、1日が かりだ。

残念だがクリスマス・イヴを君と過ごす事が出来なくなってし まった。

本当に申し訳ない・・・・この埋め合わせは必ずする!!!』

その時の彼女のショックと言ったら、地球がぶっ壊れるぐらいの ダメージを受けた筈。

恋人と過ごす初めてのクリスマス・・・・・

彼女がどれだけ楽しみにしていたか彼は知っていただろうか?

1年に1回しかないクリスマス・イヴだからこそ一緒に過ごした かった。

何ヶ月も前からプレゼントを買い、着る服も買ってあった。

自分の作った料理やケーキを一緒に食べ、幸せに過ごす時間を夢 みてた。

笑いながら寄り添いながらぬくもりを感じて過ごしたかった。

彼女の大きな瞳は、一日中泣いていたせいか赤く腫れている。

運がいいのか悪いのか今、この家には彼女1人しか居ない。

両親は旅行に、弟はたくさんのガールフレンドとスキーに出 掛けてしまったらしい。

友人達と過ごそうとも思ったが、皆恋人達の聖夜を満喫中だ。

仕方なく彼女は、クリスマス・イヴを家の中で過ごし後少しで日 付が変わろうとしていた。

 

  

ベッドでゴロゴロしていた麻美がふと時計に目をやると11時 55分を指していた。

「あぁ・・・・あと5分で終わっちゃう。仕事で忙しいのは分る けど初めての

イヴぐらい一緒に過ごしたかったな・・・・。」

深い溜息を吐きながら麻美はすっと立つと窓辺に近寄り

カーテンを開けて思わず息を呑んだ。

「雪だ・・・・・。ホワイトクリスマス・・・・・。」

真っ暗な空から落ちてくる白い雪はまるで天使の羽根のよう。

降り初めてからかなり時間が経っているのか、街は雪化粧で包ま れていた。

麻美の瞳から大きな雫が幾つか落ちる。

『この雪を一緒に見れていたらどんなに幸せだったろう?』

カーテンをぎゅっと握りながらふと視線を移すと家の前の人影に 気づく。

「!!!!!!」

(あれは、まさか・・・・・・)

猛スピードで階段を駆け降り勢いよくドアを開けた先には麻美

がずっと会いたかった人物が空を仰いでいた。

「零一さん!!!」

「麻美!?」

胸に駆け込んで来た麻美を驚きながら抱きしめる零一の

髪や肩にはかなり雪が積もっていた。

「零一さん・・・・・。一体、いつから家の前に居たんです か?」

「・・・・30分前ぐらいからだ。仕事が終わって、君にひとめ 会うだけでもと

思って来てみたのはいいが・・・・訪問するにはかなり遅い時間 だ。

だから、君の部屋をずっと見ていた・・・・。気がついたら30 分程時間

が経っていたのでもう帰ろうと思ったら君が現れたんだ。」

麻美をしっかりと抱きしめている零一の身体は氷のように冷た かった。

焦った麻美が零一の腕を引っ張り家に招き入れようとしたのだが

肝心の零一がその場から一歩も動こうとしない。

不安に思った麻美が零一を見上げると、零一の手が伸びてきて

涙の跡に指でそっと触れた。

「どうやら俺はまた君を泣かせてしまったらしいな。

すまない・・・・・。俺は君の恋人失格だな」

悲しげに笑う零一に麻美は即座に首を振った。

「そんな事ないです!!!確かに一緒に過ごせなかったのは残念 だったけれど

こうして、私に会いに来てくれたから・・・・。

私はそれだけで十分幸せなんです。」

天使のようににっこり微笑む麻美に零一からも笑みが零れる。

「そうだな・・・・俺もこうして君と会えただけで十分だ。君に 会えないと思って

プレゼントは自宅に置いてきてしまったが、変わりにこれを受け 取ってほしい・・・。」

言い終わるか終わらない内に麻美の唇に零一の唇が重なった。

いつもより更に甘くて激しいキス。

足のつま先から頭の天辺まで痺れるような深いキス。

長い長い夢のような口付けからようやく解放された麻美は、

瞳を潤ませながら口を開いた。

「な・・・なんか・・・いつもの・・・零一さんと・・違う?

・・・ど・・うし・・たんですか・・・?!」

フっと零一は優しく微笑むと雪空を見上げた。

「それは・・・・・全てこの雪のせいかもしれない。真っ白な雪 が俺に魔法でも

かけたのかもしれないな・・・。一夜限りの特別の魔法 を・・・・・」

麻美の体を抱き寄せ、再び唇を重ねる。

そして2人寄り添いながらしばらく降ってくる雪を眺めていた。

 

 

「クシュン」

「これ以上は風邪をひく。家の中に入ろう。君の身体もだいぶ冷 えてきて

いる事だし、お互いの身体を温めあう事にするとしよ う・・・・。」

「!?」

口をポカンと開けて突っ立ってしまった麻美を零一は抱きかかえ る

ようにしてしんしんと降る雪の中、玄関のドアは静かに閉められ た。

 

 

どうやら恋人達の熱い夜はこれから始まるようだ。






まみ様のコメント:
果たして熱い夜とは!?それは皆様のご想像におまかせします。
尽くんが持っているゲーム(DDRとか)を2人でしながら夜明けを迎える
かもしれませんね(笑)ちなみに、零一さんにイヴに仕事を与えたのは
理事長だったりします(大笑)もちろん、邪魔をする為に!!!




まみ様のサイト(閉鎖済み)でフリー配布されていた零一さんノベルです♪
まみ様の書かれる零一さんノベルにすっかり洗脳されて、
本編も知らないのにmokokoは零一さんファンやってます(苦笑)
いや、子安さんが好きというのはモトからですが。





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